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試し合い

11月3日、文化の日。
IKO空清館の子どもたちと、その他大人数名が、
東京都北区空手道選手権大会に出場しました。
試合とは「ためしあい」と書きます。
同じ空手の道を極める強者達のなかで、
自分の技量がどの程度通じるのか、皆で試しに行ってきました。

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子どもたちは普段の稽古の成果を発揮、
型も組手もきらりと光るシーンをいくつも見せてくれました。
ただひとつだけ残念だったのは、「声」が出ていなかったことです。
いつもの元気はどこへやら。
声が出てくれば、突きも蹴りも、動き全体がもっと伸び伸びしてくると思います。

あとこれは今後の課題としてここに記しておきたいのですが、
型のベスト8、ベスト4と勝ち残っていった選手に共通して言えたのは、
コートに入場する前からほどよい緊張感を保ち、
コート係に名前を呼ばれた瞬間から、きっちり「試合」モードに入っていたことでした。
立ち位置までの足の運び、礼の仕方、型の読み上げ......
残念なことに、型の演舞を始める前から、
勝負がついていたといっても過言ではありません。
コート脇に集まったところから、「試合」は始まっています。
演舞はうまいのに、演舞以外のところで審判に判定されてしまう。
これはもったいないとしか言いようがありません。
ただ、「ためす」のではなく、「ためしあい」という以上は、負ければ悔しいものです。
来年、がんばりましょう。

「その他大人数名」の結果で特筆すべきは、
川崎市役所空手道部の若武者Kさんの闘いぶりでした。
彼にとっては、この大会が初めての試合。デビュー戦です。
まだ荒削りながら、決して下がらない姿勢は見習うべきものがあります。
組手団体戦3位決定戦。
先鋒でコートに入ったKさんの向かいに立ったのは、黒帯の外国人の選手でした。
決して身体の大きな選手ではありませんが、型も組手も「おっかない」タイプ。
観戦しているときから「あの人とはやりたくないよねぇ」と話題になっていました。
「大丈夫。Kさん白帯でしょ。あの人黒帯だし」
「個人戦は有級と有段で分かれてるからあたらないよ」

しかし、そのとき誰も気づいていませんでした。
団体戦は例外だということに......。
コートのなかからKさんがこちらを見てメンホウのなかで口をパクパクさせています。
『ヤバイ......ヤバイッスヨ!』
直後、無情にも審判の「始め!」の声が響きます。

それでも彼がすごいのは、臆するところがないことです。
開始早々、Kさんが上段突きをとって先制します。
それが相手の闘志に火をつけました。逆に今度はKさんが上段突きを食らいます。
あたりが強かったか、下を向いて呆然とするKさん。
見てるほうとしては、声をかけることしか出来ません。
「ファイト!」
「気合い入れろ!」
「声出していけ!」

試合続行。Kさん、相変わらずどんどん入っていきます。
その気迫に黒帯は場外乱発。結果、Kさんのポイント加算となり、
終わってみれば、見事Kさんの勝利。
白帯なのに、黒帯(しかも強そうな)に勝っちゃいました。

しかし、本当のビックリはこのあとです。
メンホウを脱いだKさん、コートの床をキョロキョロと見回しています。
「あ、あった!」
その視線の先に転がっていたのは、歯のかけら。
なんと先の上段突きで、前歯が折れていたらしいのです。
(そしてもっとビックリなのは、Kさんのあとに続いた黒帯2人が負けちゃって3位を逃したことだけど、ま、それはおいといてと......)

歯が折れたことを周囲にアピールすることなく、
ひたすら相手を追い込み続けたファイティングスピリッツに、ただただ感服。
デビュー戦でとんでもない洗礼を受けたKさん。
今朝届いた「これからもたくさん教えてください!」とのメールに、
「教わったのはわたしのほうです」と返した次第。

実り多き秋の祝日がこうして終わりました。


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